太陽光発電は元が取れるか?

‘¾—zŒõ

これから太陽光発電を始めてみようかな、と検討中の方に、元が取れるかどうかを私が試算した経緯を紹介します。

「元を取る」ことと「持ち出しなし」

さて、単純に「元を取る」と言っても考え方はいくつかあります。
正直な話、雨漏りなどせず順調に発電するなら、余程の悪条件でなければいつかは必ず元を取ることができます。
しかし、いつかは、では不安ですし、できれば早めにプラスに転じたいものですね。
太陽光発電システムは、一般的にはローンを組んで設置すると思います。
設置後は、発電量に応じて売電収入が入ってきます。
この収入と支払いを毎月続けた結果、いつイニシャルコストを回収できるか、ということが「元を取る」ということですね。

また、「持ち出し」なし、とは、頭金なしでローンを組み、売電収入が毎月の返済額以上となることです。

つまり、最初から収支計算でプラスとなり、返済を終えることができればこの上なく理想的ですね。
月単位の収支計算は以下のようになります。
(毎月の収支計算)=(毎月の売電収入)-(毎月のローン返済額)

しかし、実際に計算するにはもう少し情報を整理する必要があります。

イニシャルコスト

太陽光発電システムのイニシャルコストは、単にパネルだけでなく、色々なものが含まれています。
我が家の実際の見積書では
 太陽電池モジュール
 パワーコンディショナー
 マルチアレイコンバーター
 ケーブル
 モニターシステム
 電力計測用電流センサー
 屋根上鉄骨架台
 本体設置工事費
 電気工事費(室外配線)
 電気工事費(室内配線)
 運搬費
 外線工事費(電力会社見積もり別途料金)
これだけの項目が入ってきます。
必ず見積書に書かれたもの以外の費用の発生がないか、コミコミか確認しましょう。

ちなみに、外線工事費とは、電力会社が最終的に行う、電柱と太陽光発電システムを接続工事です。
都市ガスなんかも自分の家に引き込むときにお金がかかりますが、同じようなものです。
条件が悪い場所では、ここでものすごい額がかかることがありますので、事前にきちんと確認しましょう。
聞いた話では、最後の最後に70万ほどの外線工事費がかかった例があるそうです。
私の家は8万ほどでした。

私が8社見積もりした結果では、40万円/kwあたりが最も安かったですね。
ネットで調べるよりかなり高かったです。
これは積雪寒冷地であるため、架台費が高くなることが原因です。
見積書でも、kw当たり10万円ほどかかっているようです。

ソーラーローン

イニシャルコストは見積額だけで決まるものではありません。
どのような条件のローンを組むことができるか、が大事だと思います。
多くのソーラーローンの金利は2.7%でした。
私の場合は、他にも色々工事が入り、1.5%で組むことができました。
ちなみに、500万円の借入額対して、15年2.7%と1.5%では、総支払額で50万円近く違います。
ある意味では、見積書に書いている金額そのものよりも、どのようなローンを組めるかも業者選びの大事な基準だと思います。
借り入れ期間は15年で選ぶ人が多いと思います。
基本「持ち出しなし」にしたいですからねー。

売電収入(経済効果)

さて、次はプラス分を考えてみます。
売電収入は、基本的に発電量と売電単価で決まります。
発電量はおよそ出力×1000と言われています。
4kwシステムなら年間発電量は4000kwhというわけですね。
しかし、実際に発電シミュレーションすると、もう少し高い数値で出てきます。
これは、設備利用率という数値による違いだと思います。
 設備利用率=年間発電量/(太陽光発電システム容量×365日×24時間)×100
出力×1000、という理屈だと、設備利用率は約11.4%となります。
この数値は、地域や地形的な条件で変わってくると思いますが、私の8社見積もりでは12%~13.5%の間ですね。

少し横道にそれました。
システム容量10kw以上の全量買取であれば、
(売電収入)=(予測発電量)×(売電単価)
だけで決まります。

一方、10kw未満の余剰買取の場合は、自家消費分を考慮する必要があります。
システム容量4kwの一般的な家庭では、自家消費率を発電量全体の20~25%程度で計算すると良いようです。
「システム容量4kw」を前提条件としたのは、システム容量9kwの人でも20%自家消費するかと言うと、そんなにしないと思うので。
4kwの余剰買取でもちゃんと残りの80%売電できている、ということは、9kwの人なら10%程度しか自家消費しないのではないでしょうか。
と言っても、検証はまだできていないのですが(;@ω@)

ともあれ、この場合は売電収入だけをもって収支計算はできません。
自家消費した分、電気代が浮きますので。
自家消費量を「4kwで25%消費する」ことを前提に考え、年間1000kwhと仮定します。
そうすると、太陽光発電システムを設置したことによる経済効果は
(経済効果)=1000kwh×(北電からの買電単価)+(予測発電量-1000kwh)×売電単価
となりますので、これが毎月のローン支払額を上回って初めて、「持ち出しなし」と言えそうです。
ただし、売電単価>買電単価ですので、日中電気を使えば使うほど経済効果は下がっていきます。
従って、いかに日中電気を使わないか、が大事ですね。

固定買取期間終了後の売電単価

固定価格買取期間終了後の売電単価はどうなるのか。
これは皆が気になるところですが、答えは今のところありません。
一般的な考えでは、買電単価と同額になる、若しくは蓄電池の併設を行うことになる、などがあるようです。
この場合、固定価格買取制度開始前の単価24円になるのでは、と予測している人も多いようです。
とりあえず、ある程度の仮定をしないとシミュレーションはできないので、ここでは固定買取期間終了後、24円/kwhで売電できるものとします。

維持費

忘れてはならない維持費。
太陽光発電システムは基本的にメンテナンスフリーですが、故障するものもありますし、故障していなくても取り替えなければならないものもあります。
それがパワーコンディショナー(以下、パワコン)と売電メーターです。
パワコンは、各社の保証が10年であることを踏まえると、およそ15年前後で故障するものと思います。
基盤交換で住む例もあるようですが、計算上ではまるごと取り替えることを想定しておいたほうがいいでしょう。
見積もり書で20万円なら、15年に1度20万円かかると思って収支計算をしたほうがいいです。
もう1つ取り替えなければならないのが、売電メーターです。
売電メーターなどの計器類は測量法で10年ごとに試験に合格した計器と交換する必要があります。
これは5万円くらいだと思います。

補助金

国の補助金はすでに終了しましたが、市で補助してくれるケースがあります。
私の住んでいる場所では18万円まで補助が出ます。

損益分岐点

それでは実際に計算してみます。
一般的な戸建て住宅に設置する太陽光発電システムの容量は4~5kwのものがほとんどだと思います。
私の8社見積もりのうち、その範囲の中で最も見積額が低かったものを例に考えてみます。

イニシャルコスト
見積額コミコミで2,170,000円でした。メーカーはカナディアンソーラー、システム容量5.04kwです。

補助金
18万円です。

ローン
金利2.7%で15年固定です。
借入額は217万円-18万円=199万円とします。
毎月支払額は13,457円、総支払額2,422,213円です。

シミュレーション上の経済効果
当初10年間
年間発電量5218.5kwh、自家消費率30%、売電単価37円、毎月経済効果14,916円
11年目以降
年間発電量が90%に減少すると仮定します。
年間発電量4696.6kwh、自家消費率30%、売電単価24円、毎月経済効果9393円

試算
元を取るまでの時間
14.916円×12ヶ月×10年+9393円×12ヶ月×6年=2,466,216円
毎月の差し引き
当初10年間
13,457円-14,916円=1,459円
11~16年目
13,457円-9393円=-4,064円

以上の結果から、「元を取るまで」約16年、当初10年間は1459円のプラスですが、11年目以降は4064円のマイナスとなることがわかりました。
ただし、維持費に10年経過時に5万円、15年経過時に20万円かかることを考えると、元を取るまでは18年くらいかかりそうですね。。
このシミュレーション結果だと、やめようかな・・・となる人も多いと思います。

長期的視点を持つ

太陽光発電を始めるうえで、最も気になるのは「元を取る」まで何年かかるか、だと思いますが、住宅に設置する人はその先を考えてみるといいと思います。
完全に元を取るまではかなりかかったものの、それ以降は負債なしで「毎年10万円分以上の電気を半永久的に作り続けてくれる設備」だと思えば、それなりに恩恵のある設備かなーと思います。
20年後からプラスに転じるあたり、老後対策にもなりますし、個人年金みたいな感覚ですかね。
仮に40年間発電し続けるとすれば、517万円分の電気を作る設備、ということになります。その間にパワコン40万円、売電メーター20万円分かかったとしても、プラス200万円以上はプラスになりそうですね。

まとめ

太陽光発電システムは元を取るまで大体10年と言われていますが、積雪寒冷地はkw当たりの設置コストが高く、元を取るまでがなかなか大変です。
国が決めている固定価格はそうでない地域で元を取るための試算で決定されていると思いますので、この制度自体やや不利に感じます。
しかし、「まだ30年~40年近く今の家に住むんだ!」という人であれば、長期的な視点を持ち、ローンの支払いさえ終わってしまえば一生分の電気代くらいは作ってくれる、といった感覚で設置を検討してみるのもアリだと思います。

私もまもなく設置が完了するのですが、ここで紹介したのとはちょっと違ったものになっています。
その辺は別の記事で紹介したいと思います。

コメントを残す




Menu

HOME

 TOP