以前、最近では寒冷地向けエアコンが各メーカーから出され、ランニングコストについてメリットがあることを書きました。
しかし、我が家ではすでに寒冷地向けではない普通のエアコンを設置済みで、暖房のためだけに寒冷地向けエアコンに買い換えても、イニシャルコスト分をランニングコストで回収することは難しいと思います。
そもそも今ある普通のエアコンで暖房することはできないのでしょうか。
寒冷地向けエアコンは、室外機にヒーターをつけて、霜取運転になることなく暖かい風を吹き出し続けることができますが、逆に言えば、霜取運転中になることさえ許容すれば寒冷地向けエアコンでなくても問題ないのではないかと思います。
ヒーターをつけることによって暖房出力をあげることは、暖房器具としては当然暖かくなりますが、その分電気代がかさむことになります。
となると、経済性から考えれば寒冷地向けエアコンよりも普通のエアコンの方がお得かもしれませんね。
「やってみなくちゃわからない。大科学実験で。」でもないですが、私も理系人間なので、やってみなくちゃわからないかなーと思い、検証することにしました。
まずは理論値としていけるのか、考えてみます。
寒冷地仕様との性能差
そもそも寒冷地仕様と普通仕様の暖房能力差とは、どれほどの差なのでしょうか。
実際に三菱のエアコンで比較してみることにします。
うちはリビングが14畳なので、14畳用で見てみると
普通仕様
MSZ-ZW405S(W)(T)
期間消費電力量 1113kWh
通年エネルギー消費効率 6.8
低温暖房能力8.1kW ※2
寒冷地仕様
MSZ-ZD405S(W)
期間消費電力量 1327kWh
通年エネルギー消費効率 5.9
低温暖房能力9.0kW ※2
-15℃暖房能力7.0kW ※3
※2:外気温2℃時。
※3:最大能力(ピーク時)
期間消費電力量から見ると、寒冷地仕様のほうが1.2倍ほど大きくなるようですね。
通年エネルギー消費効率では寒冷地仕様のほうが0.9も低いというのは意外です。
その分低温暖房能力には明確に寒冷地仕様のほうが性能が上ですね。あくまで暖房に限った話ですが、普通仕様よりもワンランク上の畳数を賄えそうです。
ただ、普通仕様と寒冷地仕様の暖房性能の差は、「だから普通仕様エアコンの暖房性能は話にならない」という結論を出すほどのものではない気がします。
少なくともカタログ上の性能を見る限りでは。
寒冷地仕様とのコスト差
今度はコスト差について比較してみます。
まずイニシャルコストですが、とあるネットショップで比較した場合、
普通仕様
MSZ-ZW405S(W)(T)
販売価格(税込): 250,560 円
寒冷地仕様
MSZ-ZD405S(W)
販売価格(税込): 268,920 円
18360円ほど寒冷地仕様のほうが高い結果となりました。
次にランニングコストの差を比較したいところですが、これは前提条件によって計算が異なってしまうと思いますが、一応、我が家の現況に合わせてシミュレートしてみます。
まず、我が家の昨年度の灯油代は205,602円でした。
ここで一般論的に、北海道の戸建住宅における暖房と給湯の灯油使用量の比率を見てみると、およそ暖房で55%使うようです。
ソースとしては北海道庁のホームページ上からそれっぽいものを見つけました。間違ってたらすみません。
昨年度は灯油が高くて、配送時の灯油単価は1リットル102円ほどでした。
数量にして2016リットル消費したことになります。
このうち55%を暖房に使ったとすると、1109リットル使ったことになります。
熱量に換算すると、灯油入力1リットルに対する出力は9.58kWhです。
なので、昨年度の灯油暖房で得た熱量は、9.58kWh×1109リットル=10,624kWhであったことになりますね。
今度はこれを電気量に換算してみます。
このとき、エアコンはヒートポンプ式なのでCOPやAPFといった数値が重要なのですが、これがまた外気温に左右されるため、暖房時における正確な数値は私にはわかりません(;@ω@)
なので、単純にカタログ上のAPFで比較してみることにします。
電気代1kWh当たりの単価は、我が家の2014年12月の平均単価30.6円とします。
普通仕様
MSZ-ZW405S(W)(T)
通年エネルギー消費効率 6.8 ⇒ 10,624kWh÷6.8=1,562kWh
電気代=1,562kWh×30.6円=47,797円
寒冷地仕様
MSZ-ZD405S(W)
通年エネルギー消費効率 5.9 ⇒ 10,624kWh÷5.9=1,801kWh
電気代=1,801kWh×30.6円=55,111円
この計算だと、ランニングコストも普通仕様のほうが通年で7,314円安くなります。
しかし、実際の外気温におけるCOPはどっちが上なのかはわかりません。
メーカーは気温ごとのCOPの数値を持っているでしょうが、今回はそこまで調べれませんでした(;@ω@)
ただ、実際の暖房時のCOPはおそらく4を割ると思いますので、今回のような電気代では済みません。
あくまでも、2つのエアコンのランニングコスト差を比較するために、今回の計算ではそのままカタログ上のAPFを用いたに過ぎませんので。
仮に暖房期間(11月~4月)の平均COPが4.0だとすると、暖房にかかる使用電気量は10,624kWh÷4.0=2,656kWhとなり、電気代=2,656kWh×30.6円=81,273円くらいになるのではないかと。
灯油代=1109リットル×102円=113,118円となるので、年間3万円くらいお得ですね。
ただ、今年は灯油が安くなってきて、94円くらいになっていますので、差はもう少し縮まっていそうです。
結局普通仕様のエアコンは使えるのか?
カタログ上の数値では、現実的に不可能とは言えません。
私の住んでいる地域では、最も寒い1月と2月でも、平均気温は-3℃くらいですので、普通仕様のエアコンでもそれほど条件が厳しいわけはないと思います。
寒冷地仕様エアコンを販売している人に聞いたら「普通のエアコンで冬に暖房したら壊れますよwww」という感じでしたがね(#゜д゜)ピキピキ
じゃあ何度で壊れたっていうデータでもあるのかというと、今のところ誰も知らないわけで。(少なくとも私の周りの電気屋さんやリフォーム屋さんは)
なら自分でやってみるしかないってことで、実際に今年は普通仕様のエアコンで暖房して検証しています。
そのデータはまた別のページで紹介することにします。